憂鬱な気分が続く
「憂鬱な気分が続く」という症状は、「やる気が出ない」と共にうつ病の代表的な症状となります。ただうつ病の診断にはこの症状が一定期間持続する必要があり、「憂鬱な気分が続く」、「やる気が出ない」という症状があるだけでうつ病とは診断できません。典型的なうつ病であれば、抗うつ薬による薬物療法が効果的ですが、別の病気であれば抗うつ薬の効果が十分でないこともあります。憂鬱な気分が持続し、生活に支障が出るようであれば、受診していただければと思います。
やる気が出ない
「やる気が出ない」という症状は、「憂鬱な気分が続く」と共にうつ病の代表的な症状となります。ただうつ病の診断にはこの症状が一定期間持続する必要があり、「やる気が出ない」、「憂鬱な気分が続く」という症状があるだけでうつ病とは診断できません。典型的なうつ病であれば、抗うつ薬による薬物療法が効果的ですが、別の病気であれば抗うつ薬の効果が十分でないこともあります。双極性感情障害(いわゆる躁うつ病)でも、最初は「やる気が出ない」、「憂鬱な気分が続く」などの症状で始まることが多いですが、抗うつ薬は気分が上がりすぎる、いわゆる躁症状を誘発することが多いと指摘されています。
学校や会社でのストレスが辛い
学校や仕事場でうまくいかない状態が続くと、動悸、過呼吸、下痢、腹痛などの「体の」症状や、不安、抑うつ気分などの「心の」症状の原因となることがあります。ストレスの原因がはっきりしている場合は、そのストレスを解決していくことが望ましいと考えています。診断書を作成し、一定期間、休学/休職する、必要であれば学校や職場と連携をとって環境を調整することで、症状が改善することが期待されます。必要であれば、薬物療法も併用していきます。
人間関係がうまくいかない
人間関係がうまくいかないのは、周囲の環境に原因がある場合と、本人の特性による場合があり、また多くの場合は両方の要因があります。周囲の環境に原因がある場合は、環境を調整する必要があります。本人の特性による場合は、心理検査などで本人の特性を客観的に評価し、どのようにしたら人間関係が改善するかを考えていくことが重要と考えられています。本人の特性の中には、アスペルガー症候群、注意欠陥多動性障害(ADHD)などの発達障害と呼ばれる疾患もあれば、統合失調症の初期の場合もあり、それぞれ治療法が異なりますので、検査と診断が必要です。
気分の波がはげしい
「気分の波がはげしい」という症状で代表的なものは双極性感情障害(躁うつ病)です。これは気分が落ち込んだうつ症状と気分が上がった躁症状が繰り返される病気です。ただパーソナリティ障害や一部の認知症、脳梗塞や脳出血の後遺症でも「気分の波がはげしい」という症状がおこることがあります。これらの病気の診断には、専門医による診察と、必要に応じて心理検査が必要になりますので、「気分の波がはげしい」という症状のために生活に支障が出ている場合は受診を考えていただければと思います。
食欲がわかない
「食欲がわかない」という症状では、まずは「体の」病気に関してしっかりと検査をすることが大事です。「体の」病気がないにも関わらず、食欲がない状態が続く場合は、うつ病や双極性感情障害(躁うつ病)などの病気が考えられます。また、心理的なストレスが長く続いたりすることで、食欲が出なくなることもあります。また統合失調症、認知症の初期の症状として食欲が低下することもあります。
寝つきが悪い、夜中に何度も目覚める
いわゆる不眠症に関しては、眠剤を処方されることが多いですが、眠剤による薬物依存症が問題になっています。特に高齢になると、睡眠の必要量が低下し、またぐっすり寝てすっきり目が覚めるような感覚が得られにくくなりますが、眠剤(睡眠薬)を使い始めると止められなくなり、依存につながっていくことがあります。まずは昼間によく体を動かす、睡眠を妨げるカフェイン入りのお茶、コーヒーなどを夕食後以降に取らないようにするなどの生活習慣の改善を行い、それでも眠れないときには依存症になりにくい眠剤(睡眠薬)を処方します。
急に不安になる
恐怖感や身体的不快感が強まりなどの不安が出るのは病気ではありませんが、このような不安の症状が強くなり、時にはドキドキする(動悸/頻脈)、発汗亢進、息切れ、胸部苦悶、吐き気、腹部不快感、めまい、寒気やほてりなど体温異常などの自律神経症状をおこす(パニック症状)こともあり、日常の生活に支障が出ると、病気(不安障害)としてとらえ、治療が必要になります。不安障害は不安が出現する状況や不安の内容によりいくつかの種類に分かれ、抗不安薬や抗うつ薬による薬物治療により症状を緩和する治療に加え、不安が強くなっている原因についても考えていくことが重要と考えています。
怒りがおさえられない
「怒りがおさえられない」という症状は、双極性感情障害(躁うつ病)でよくみられる症状の一つです。躁症状と聞くと、気分が大きくなる、ギャンブルや買い物などの浪費が盛んになるなどを思い浮かべますが、日本人では怒りっぽくなるという症状が比較的多いといわれています。また認知症や脳梗塞/脳出血などで脳の一部の機能が低下しても、「怒りがおさえられない」という症状が出現することがあります。統合失調症やアスペルガー症候群などでも見られることがあり、特に原因もなく急に怒りっぽくなった場合には注意が必要です。
もの忘れがでてきた
もの忘れには、年齢による自然なもの忘れと、病気によるもの忘れがあります。病気によるもの忘れの中には、治療が可能なものもあります。最も多いアルツハイマー型認知症に対する薬物治療は、病気の進行を抑えるものですので、もの忘れがあまり進んでいない時点で服用するのが効果的です。加えて、デイサービスの利用などの非薬物治療は、病気の進行を抑える効果があると報告されておりますので、もの忘れが急に出てきたと思ったら、早めに検査をして、治療につなげていくことが大事です。
誰かに見られている、悪口を言われている感じがする
「誰かに見られている、悪口を言われている感じがする」というのは、妄想の初期でよく出現する症状です。考えられる病気としては統合失調症が考えられますが、「誰かに見られている、悪口を言われている感じがする」などの妄想であれば、アスペルガー症候群、うつ病、双極性感情障害(躁うつ病)などほかの病気でも見られることがあります。ただ次第に症状が重くなっていく可能性もありますので、早めに受診していただき、しっかりと検査することが大事です。
頭の中にざわつきを感じる、声が聞こえる
「頭の中にざわつきを感じる、声が聞こえる」というのは幻聴の初期の症状と考えられます。考えられる代表的な病気は統合失調症ですが、これも程度によってはアスペルガー症候群などでも認められる症状です。ただ次第に症状が重くなっていく可能性もありますので、早めに受診していただき、しっかりと検査し、必要であれば治療を開始することが大事です。